基本的に歩兵聯隊についての内容になります
下士の職務(平時)
下士(曹長、軍曹(一等軍曹)、伍長(二等軍曹))になるには
一年志願兵や士官候補生の一時的な任官を除きます
明治29年~明治32年11月30日
- 下士の服役
- 下士の服役は12年4ヶ月、これを現役/予備役/後備役に分け、満了すると第一国民兵役へ
- 下士の定限年齢は40歳、これに達するまで再服役を志願することが出来る
- 再服役は通常1年を1期とするが、7年以上服役しなお服役している者は2~3年を1期として志願することができる
- 現役を離れる時7年4ヶ月以内であれば予備役へ、12年4ヶ月以内であれば後備役へ編入
- 兵卒の上等兵より
- 上等兵にして入隊の日より二箇年以上現役に服役し、再服役を許されたる者
- 中隊長が部下の上等兵を選抜し、技能の優劣に依り順序を定めた下士候補名簿を作製し12月1日までに大隊長に届け出る
- 大隊長はさらにこれを検閲して取捨を加え聯隊長→旅団長→師団長へ進達
- 中隊に欠員がある毎に下士候補名簿から二等軍曹に任命する
- 基本的に同じ中隊に配属されるが、欠員を補えない場合は同大隊中の他の中隊より補充する
- この頃は二年兵時上等兵だった兵卒が三年次に二等軍曹ということもあった
- また上等兵は現役満期後の再服役が可能だったため、上等兵として何年か再服役→下士の道もあった
- 陸軍教導団出身者
- 外部より採用(陸海軍の現役/予備役/後備役の者は志願できない)
- 生徒は華士族平民中、歩兵、騎兵、砲兵(野戦砲兵)、工兵、輜重兵科下士に出身志願の者を選抜して採用す (出身志願=なりたい者)
- 歩兵は概ね14ヶ月間修学
- 教導団長が卒業者名簿を監軍(教育総監/明治31年)に進達し認可を受けて二等軍曹に任命、陸軍大臣の告達に基づき各兵隊に配賦
- 現役服役期限は4年、以降1年ごとに再服役志願
- 戦時特別補充…動員時には必要に応じて以下より補充
- 入隊後5ヶ月(4ヶ月/明治31年~)を経過した一年志願兵
- 現役/予備役/後備役の上等兵
- 明治22年5月7日 勅令第61号 陸軍武官進級令
- 明治29年5月16日勅令第216号 陸軍教導団条例
- 明治29年6月4日 勅令第238号 陸軍服役条例
- 明治29年12月2日 勅令第379号 陸軍補充条例
明治32年12月1日~明治36年11月30日
二等軍曹→伍長、一等軍曹→軍曹に / 陸軍教導団の廃止
- 下士候補生(長期下士):生徒
- 外部より召募
- 陸海軍の現役/予備役/後備役でなく、召募試験に受かった者
- 入隊の後直ちに二等卒の階級が与えられ、1年後に一等卒となりその後上等兵へ進む
- 下士候補生(長期下士):学生
- 各隊の兵卒(現役2年を過ぎた者除く)中、品行方正・志操確実にして再服役を希望し下士候補生たる技能を有する者
- 下士候補生(長期下士) 共通
- 入隊の月より概ね2年、各隊に於いて当該兵科の下士に必要な学術を習得させる
- 卒業試験に及第した者が下士となれる
- 聯隊長が卒業試験の成績により下士候補生卒業名簿を作製、旅団長→師団長に進達し認可を請け、伍長に任命し各中隊に配賦
- 現役服役期限は下士を任じられた日より4年、以降1年ごとに再服役志願
- 短期下士:兵卒の上等兵
- 上等兵にして入隊の月より2年以上現役に服し伍長たる技能を備える者
- 中隊長が部下の上等兵を選抜し、技能の優劣に依り順序を定めた下士候補名簿を作製し12月1日までに大隊長に届け出る
- 短期下士たる伍長は平時にありては軍曹に進級せしむることなし(陸軍武官進級令 第21条)
- 現役服役期限は入隊日より3年
- 再服役は初回のみ3年を1期とし、以降1年ごとに再服役志願
- 戦時特別補充
- 入隊後4ヶ月を経過した一年志願兵
- 現役/予備役/後備役の上等兵
- 上等兵の階級にある下士候補生
- 明治32年11月14日 勅令第432号 陸軍補充条例 改正
- 明治32年11月25日 勅令第436号 陸軍服役条例 改正
- 明治32年11月28日 勅令第438号 陸軍武官進級令 改正
明治36年12月1日~明治42年4月15日
ここから現役兵卒からの下士は兵卒の現役満期後となります。
また外部からの召募がなくなりました。
- 下士の服役 改正
- 服役期限は兵卒より下士に任命の者は徴集年の12月より起算し12年4ヶ月、その他の者は下士任官の年の12月より起算し12年4ヶ月
- 再服役は通常1年を1期とするが、入隊後(兵卒外の出身者は任官後)6年以上服役しなお服役している者は1年以上数ヶ年を1期として志願することができる
- 兵卒から
- 再服役を志願し下士に適する者
- 兵卒として入隊の日より3年後伍長に任命、ただし伍長の前に伍長勤務上等兵を命ずる
- 補充上の必要があるときは前項に拘らず入隊の日より2年後に伍長に任命することもある
- 聯隊長が勤務の成績により順序をつけた下士候補名簿を作製、旅団長→師団長の認可を受ける
- 現役服役期限は入隊の月より4年
- 予備役上等兵 ①
- 現役中伍長勤務上等兵で現役満期後1年以内に現役下士を志願する者
- 聯隊長が勤務の成績により順序をつけた下士候補名簿を作製、旅団長→師団長の認可を受ける
- 現役服役期限は再入隊の年の12月より2年
- 予備役上等兵 ②
- 下士適任証書を有し現役満期後1年以内に現役下士を志願する者
- まず伍長勤務上等兵を命じ、2ヶ月以上服務の後欠員に応じて伍長に任命
- 現役服役期限は再入隊の年の12月より2年
- 予備役/後備役の軍曹・伍長
- 現役満期後1年以内に現役下士を志願する者
- 聯隊長が階級毎に順序をつけた下士採用名簿を作製、旅団長→師団長の認可を受け、名簿の順に現役下士に採用する
- 現役服役期限は再入隊の年の12月より2年
- 戦時特別補充
- 入隊後4ヶ月を経過した一年志願兵
- 現役/予備役/後備役の上等兵
- 明治36年11月30日 勅令第184号 陸軍服役条例 改正
- 明治36年11月30日 勅令第185号 陸軍補充条例 改正
下士の進級
進級には
停年補除(実役停年の期限を経た順序により進級させる)と
抜擢補除(実役停年の最下期限を超えた者を上官(将校)が抜擢して進級させる)
があり、下士は抜擢により進級
実役停年は戦時に於いては半減
明治22年~
- 実役停年
- 二等軍曹→一等軍曹:半年
- 一等軍曹→曹長:1年
- 曹長→少尉:2年(※特例)
- 下士の進級候補は師団長が裁決し決定候補名簿を調製
明治27年7月16日~
- 実役停年
- 二等軍曹→一等軍曹:半年
- 一等軍曹→曹長:1年
- 曹長→特務曹長:2年
- 特務曹長→少尉:2年(※特例)
明治32年12月1日~
- 実役停年
- 伍長→軍曹:半年
- 軍曹→曹長:1年
- 曹長→特務曹長:2年 かつ入隊後(教導団出身者は入団から起算)8年以上(※)服役している者
- ↑※改正後しばらくの間は6年に短縮
- 特務曹長→少尉:2年(※特例)
- 下士の進級候補、下士→准士官の進級候補は師団長が裁決し決定候補名簿を調製
- 短期下士の伍長は平時において軍曹に進級できない
- 明治22年5月7日 勅令第61号 陸軍武官進級令
- 明治27年7月17日 勅令第106号 陸軍武官進級令 改正
- 明治32年11月28日 勅令第438号 陸軍武官進級令 改正
下士の給与
→下士の給与の項へ
下士の再役
教導団/下士候補生の配賦や再役割合等掲載予定